雑記

140字じゃ書ききれないこと。 (@tkkr_g)

N次創作とはなにか

ダ・ヴィンチ進撃の巨人特集を読んで。
濱野智史さんは「進撃の巨人は2次創作・N次創作の対象として非常に人気があり、その理由として?シリアスな中でも日常が丁寧に描かれている?絶望的な世界だからこそネット空間の中だけでも平和な生活を送ってほしいという読者の願いが挙げられる」と語っている。また、「巨人たちの多様で匿名的な特徴がネット空間における私達と近く、それが想像を駆り立てる」らしい。

うん、私にはよくわからなかった。

 

「2次創作・N次創作の対象として非常に人気」なのは読者が多いから単に創作母数が大きいのと、もし考察のことも「創作」と想定しているのであれば、謎の多い展開なのだからそれは当然のことである。N次創作のプラットフォームの代表であるニコニコ動画によると、キーワード「進撃の巨人」で検索すると17754(2014/09/06 0:31閲覧)の動画がヒットする。しかし、同年代のヒットコンテンツである「ラブライブ!」で11052(内、公式視聴動画が82)(同日0:32)、同年代でもない「けいおん!」で30518(同日1:00)「エヴァ」で24313(同日0:35)(更にエヴァは「ヱヴァ」などの表記もあり実態は更に多いのではないか)と、特に進撃の巨人が「シリアスだから」人気な訳ではなさそうだ。?の心理自体は理解できつつも、?はどうも関係なさそうである。

 


そもそも私は「N次創作」という言葉に違和感を覚えている。確かに、初音ミクをはじめとするVOCALOIDを使って、1次創作である楽曲に対して「歌ってみた」「弾いてみた」「踊ってみた」「MMD」「PV」「イラスト」「小説」などの2次創作が生まれ、それを元にして新たな「(曲+イラスト)歌ってみた」「(曲+MMD)踊ってみた」「(曲+小説)イラスト」などの3次創作が生まれることはある。しかし、4次創作・5次創作・・・と無限に連鎖していくというのはどうも拡大しすぎではないか。殆どの作品はおそらく、3・4次創作あたりが限界であると私は考える。それ以降は「歌ってみたを参考にした歌ってみた」のような、創作というよりは「コピー」と言った方が妥当なものばかり出てくるだろう(「カバー」は新鮮味を感じられる創作物であり、「コピー」は自分もやってみただけで作品をただなぞるようなものであると定義する)。無限に連鎖するような作品が出てくるのは希である。(「こういう例がある」というのがあったらぜひ教えて欲しい)

更に、この「N次創作」というものは別にアマチュア界隈に限ったことではない。たとえば、今回の「ダ・ヴィンチ」でも作者の諫山さんが「どんな漫画家に影響を受けたか」という質問に答えるインタビューがある。そこでは『ONEPIECE』や『GANTZ』などを挙げていて、たしかにその影響は見え隠れする。では、「『進撃の巨人』は『ONEPIECE』その他諸々の2次創作であり、『ONEPIECE』が影響を受けた『ドラゴンボール』その他諸々の3次創作にあたり、『ドラゴンボール』が影響を受けた・・・N次創作である」とは言えないのか。ニコニコ動画における「コンテンツツリー」やピアプロの「作品繋がり」は階層が違うが、構造的にはそのような「インスパイア」と同じである。

インターネットの拡大・普及によって素人が作品を発表できるようになったからこのような状況が生まれているだけで、「N次創作」という現象はなにも珍しいことではないのではないか。

もし、それでも「N次創作はあります!」といった場合、私の疑問としては「どこまでが創作か」ということだ。例えば、「Free!」の場合はイケメンが多数登場して小説・イラスト系2次創作を作らせようという魂胆は見えており、その上1期2期EDの映像が共に「アラブパロ」「職業パロ」といった想像を誰しもがしてしまうようなものになっている。このような「作り手が狙った2次創作」はもはや1次創作の一部なのではないか。

まあなんとなくこんなことを思いました。濱野さんの本は読んでないので、思い違いあったらごめんなさい。