読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

雑記

140字じゃ書ききれないこと。 (@tkkr_g)

『Free!』登場人物たちの名前をめぐって

批評 Free!

エターナルサマーのキラメキが忘れられません。
あと時間が経って考えるほど、物語における宗介の偉大さが増しているように感じます。

そーすけー!好きー!

 

  

 ドラマ『SUMMER NUDE』は〈3〉を巡る物語だ。構図としてもそうだし、登場人物たちの名前の読みもみんな3文字だし――と誰か(@prince9093)は言った。

 『Free!』にとって、「名前」といえば「男の子なのに女の子みたいな名前」である。小学校のリレーメンバーであるのは「遙」・「真琴」・「渚」・「凛」、そして岩鳶高校時代では凛の位置に「怜」が加わるといったように、メインになるチームメンバーは全員が女の子みたいな名前をしている。このことは、凛の自己紹介での「女みたいな名前ですが、男です!」というセリフや、渚が怜を勧誘する際の「自分たちとの共通点は、男の子なのに女の子みたいな名前」という理由が語られるように、登場人物の中でもどこか絆を担保する重要な意味を持っていた(もちろん「女なのに男みたいな名前」のマネージャー・「江(ごう)」も含めて)。
 2期で岩鳶のライバルとして、凛と一緒に泳ぐ鮫柄メンバーも、「愛」一郎・「百(もも)」太郎となっている。しかし、その中で1人「宗介」だけが男らしい名前を持っていることは心に留めておこう。(※宗介というキャラクターに関して、詳しくはこちら→<a href="http://tkkrgr.jugem.jp/?eid=44" target="_blank">山崎宗介への手紙 ――冬の物語としての『映画 ハイ☆スピード!Free! Starting Days―』その2</a>)

 また、文字数ではどうだろうか。「はるか」・「まこと」・「なぎさ」と安定してるメンバーは〈3文字〉、「りん」・「れい」とそこに入ってくる2人は〈2文字〉である。だがここで、水泳部を設立しよう!と言って物語をスタートさせた渚にとってはみんな同じ〈2文字〉となる。「はる」ちゃん・「まこ」ちゃん・「りん」ちゃん・「れい」ちゃんと、ちゃんづけのあだ名、つまり「男の子なのに女の子みたいな名前」をいっそう引き立たせる呼び方で呼ばれているのだ。
 むしろ、文字数が意味を持つのは鮫柄の方だ。「りん」・「そうすけ」・「ももたろう」・「あいいちろう」と、〈3〉を除いた文字数の名前が揃う。前述したように、〈3〉は岩鳶で泳ぐ遙達を想起させる数字である。凛が1期で彼らと泳いだ過去を振り切り、2期で再スタートするために、〈3〉はどうしても空けておく必要があった。それは、〈3〉にとらわれないためという読みもできるのだろうが、物語を観た感覚としてはむしろ、〈3〉を大切に心に残しておいた上で自分のチームを作るためであるように思える。(もし、百太郎の前にバックの選手の座を射止めていた魚住拓也がそのまま物語に関わってきていたら……と思うと不安でならない。)

 そしてもうひとつ、メドレーリレーをのチームを作るための〈4〉という大切な数字が、物語冒頭で反復される。岩鳶で部活設立に必要な人数としての〈4〉人、そして〈4〉人必要なメドレーリレーのチームを作るために3文字の3人は四苦八苦しながら、2文字の「凛」を彷彿させる「怜」を勧誘する。そこにはそもそも新設の部活であるため、チームを作ることが目的化して〈4〉人集まることに意味があり、他の面で〈4〉は介在しない。
 一方の鮫柄は、「宗介」が〈4〉を負っている。鮫柄は水泳強豪校で部員も多く、タイムが速ければチームが組めるのは当然である。しかしその中で、凛がもっと前に進むために、「なにか意味のある」メンバーとチームを組む必要があった。その「意味」が、宗介の「選手生命の最後に親友である凛と一緒のチームで泳ぎたい」という想いなのではないか。

 〈3〉だけでは成り立たないメドレーリレーの物語、〈4人〉が揃うかげがえなさと、親友を想う〈4〉――些細なことの中にも、「最高の夏」のキラメキが隠れていて、それが私をときめかせるのだ。