雑記

140字じゃ書ききれないこと。 (@tkkr_g)

Grayscale展感想

※まともにえらそうにコメントしますが、草原ゼミの性質的なもの(ゼミで発表後に毎回ディスカッションがあって、コメントシートを書く)なので、一応書いておきたいだけです。

 

 

全体的にそうだったのですが、説明がないとわからないような作品が多く(もしくは準備不足か)、作った人が作品の側にいて説明をしていたので、その人のナラティブのツメの甘さが気になったり、「意図を意気揚々と説明するなまずは見せてこっちに考えさせてくれ」という感想を持ちました。「作って飾る」だけでなく、「どう見せるか」、特に「何を言わないか」まで考えてほしかったです。人がいないことが良いものがけっこうありました。説明する人がはっきりしすぎていてグレーじゃない、感心はするけど展示に来た人が「経験」できないなと思いました。
もちろん発想や実際の技術はすごいと思ったので、反対に心にあまり残らなくて、かなりもったいないと思いました。

 

 
・anonymous review
混んでいたのでちゃんと見てないです。

 

Post-truth Cocktail
「視覚では想像できないような味(覚)を持つドリンク」とのことでしたが、「じゃあドリンク選ぶ時に味言っちゃダメでしょ(笑)!」と思いました。また見た目の方も、青は味を想像できない色なので、なにかを想像できる色にして「私は視覚と味覚のどちらを信じればいいんだ?」と思わせないと。知り合いだからちゃんと言っておく。

 

・一般家庭用標識
意図は良いけど標識っぽさが足りない気がするというか、「禁止」系は標識だとわかるけれど、そうじゃないものがただのTwitterのロゴを模したステッカーみたいな印象を持ちました。あとはそれなら住空間に貼ったモデルケースというか、イメージ写真でもいいのでほしかったです。

 

・Gray Switch
これは展示の方法も良くて(Amazonのページを作っていたりとか)、今回の展示の趣旨を一番直結して伝えられているなと思いました。展示の中で「グレーがあることを表す(0と1の二点の間を取る、もしくは白の世界に黒の要素を入れる)」作品がけっこうありましたが、これはそのグレーの中にもスケールがある(度合いを自分で調整できる)のが面白いと思いました。

 

・アイマイトネガウ
神社があるという、謎の作り込みまで面白かったです。でも「叶えなきゃならないプレッシャーやストレス」という点からすると絵馬という媒体がふさわしいのかという疑問もありましたが。占いとかの方がストレス強そう(もちろんインタラクティブ性という面では願いの方が面白くはあるんですが)。

 

・心臓祭器
説明文の「家の繋がりを失ったこと」と「テクノロジーの進歩が私たちを死の意識から遠ざけたこと」は別物で、「テクノロジーの進歩が私たちを死の意識から遠ざけたこと」については何も説明がなくそれが事実であるように語られているのが気になりました(校正)。仏壇の話までは説得力あったのにもったいない。あとは「心音(音)」って言ってるけど実際に感じるのは「鼓動(振動)」なのも気になりました(校正2)。けっこう体験としては良い意味で気味が悪いものだったので、ナラティブでもったいなかった作品です。名前も良い。

 

・fade-in pixel
頭良い作品だと思ったし、それを普段使うようなもの(油)で実現しているのもよりわかりやすくて面白いと思いました。ただ、説明文で「もとの作品がよりいっそう美しい姿で現れる」と言い切ってしまっているので、価値判断がついてしまっていて意図としてはグレーではないところがもったいないです。

 

・Fab-and-Aid
意図は書いてあるけど実際に目の前の展示で何をやっているかがよくわからなかったのですが、Twitterを追ってようやくわかりました。ビフォーの状態を置いておいてほしかったです。そうでないとどう「更新」されたかもわからないので。

 

・Digital Bookshelf
持っている電子書籍を本棚風に画面の中でレイアウトするアプリだかソフトだかは既にあるはずですし、結局物理的な本も必要で持ち運べもしないので電子書籍の利点も失われているし、あまりグレーではないおしゃれ作品だなと感じてしまいました。

 

・chopping scope
これはすごいわかりやすいし、「元々グレーな部分」を伝えているという点で面白いと思いました。「けもけも」はたしかにすごいオノマトペだ。参加型のものにしたせいで、どうしても大喜利感が少し出ていたのはまあ仕方ないですが、どこかでふざけすぎているのを外すフィルターをかけられるとなおよかったんじゃないかなと思いました。説明の人がいなかった(たまたま?)のも良い。

 

・美術用品野生化計画
コンセプトの一部、「名前をつけてくれる」という部分が面白い作品だなと思いました。ただ展示で壁にもう切り取るべき対象がずらりと並んでいたので、「野生」ではないなと思いました。空を切り取って名前をつけている方は面白かったです。

 

・attentive caption
「気配り」がむしろたまに辛くなることがありますが、プロダクトとしては面白いと思います。むしろこれはグレーを消すというか、機械に判定される経験でした。「女性だと丸いフォント、男性だとかたいフォントになります」と説明されたのですが、私がやるとかたいフォントが出たのに爆笑しました。